背景を消したい写真をドラッグするだけで切り抜いてくれる remove.bg は、2019年ごろから「とりあえずこれ」と言われ続けてきたサービスでした。その単体サイトが、2026年12月1日に終了します。背景除去の機能は買収元である Canva に統合され、APIは Leonardo.Ai に移り、買い切りで持っていた従量クレジットも同時に失効します。
「ブックマークしていたページを開いて、画像を放り込む」という使い方をしていた人ほど、乗り換え先を決める必要が出てきました。
乗り換え先を選ぶときに見るべき4点
代替サービスはたくさんありますが、宣伝文句ではなく次の4点で比べると違いがはっきりします。
- 画像をアップロードするかどうか — ほとんどのサービスは、あなたの画像を相手のサーバーに送って処理します。発売前の商品写真、社員の顔写真、契約書の写真などでは、これ自体が許可を取りにくい行為になります
- 書き出せる解像度 — 無料枠では小さいサイズしか書き出せず、元の解像度で欲しければ有料、という設計が多くあります
- 枚数の制限 — 月に何枚まで、1日に何枚まで、という上限
- 料金の形 — 月額なのか、クレジットの買い切りなのか(remove.bgのように、サービス終了でクレジットが失効することもあります)
このうち 1番目だけは、あとから困っても取り返しがつきません。アップロードしてしまった画像は、もう自分の手元だけのものではなくなります。
「送らない」を選べる時代になっている
ここ数年で、背景除去のような画像処理はブラウザの中だけで動かせるようになりました。仕組みは単純で、判別用のモデル(AIの本体)をブラウザにダウンロードしてきて、計算も端末の中でやってしまうというものです。
rvessa.com で公開した背景透過ツールも、この方式です。
- 初回だけ、判別モデル(約4.5MB)と実行環境をダウンロードします
- 2回目以降はブラウザのキャッシュから読み込むので、待ち時間はほぼありません
- 画像の読み込み・切り抜き・PNGの書き出しは、すべて端末の中で完結します。画像はどこにも送信されません
- 枚数の制限はなく、元の解像度のまま書き出せます(端末の性能だけが上限です)
処理速度は1枚あたり数秒程度です。サーバーの強力なGPUで処理するサービスと比べれば速くはありませんが、「画像を外に出さない」ことと引き換えにできる程度の差だと思います。
得意な写真・苦手な写真
使っているのは U^2-Net という「写真の中の主役を見つける」研究から生まれたモデルの軽量版です。主役がはっきりしている写真に強く、逆に言えば主役が曖昧な写真には弱い、という性格がそのまま出ます。
得意:
- 人物、ペットや動物、机の上に置いた商品など、被写体が中央にはっきり写っているもの
- 背景と被写体の色・明るさが違うもの
- 髪の毛や毛並みのふちも、そこそこきれいに抜けます
苦手:
- ガラス、煙、レースのような半透明・網目状のもの
- 背景と同系色で溶け込んでいる被写体
- 主役が複数あるとき。人が車に寄りかかっている写真では、人だけでなく車も残ります(モデルから見ればどちらも主役です)
最後のケースは弱点というより仕様なので、「人物だけ欲しい」場合は、切り抜いたあとに不要な部分を消すか、被写体が大きく写るようにトリミングしてから読み込ませてください。
切り抜きすぎ・残りすぎは、やり直さずに直せる
自動の切り抜きは、だいたい「腕が消えた」「背景が少し残った」のどちらかでつまずきます。このツールでは2つのつまみで調整できます。
- 切り抜く範囲: 「広め」に寄せると消えた部分が戻り、「狭め」に寄せると背景の残りが減ります
- ふちのやわらかさ: 髪や毛並みで境界を自然に見せたいときに上げます。ロゴや箱のような直線的なものは「くっきり」のほうがきれいです
つまみを動かしても、判別のやり直し(数秒の待ち)は発生しません。一度計算した判別結果を使い回して、見せ方だけを変えているためです。
白背景での書き出しにも対応
フリマやECサイトでは「白背景の商品写真」を求められることがよくあります。透過PNGのほかに、白背景や好きな色の背景で書き出せるようにしてあるので、出品用の画像をそのまま作れます。
複数枚を読み込んだときは、まとめて保存できます。
まとめ
remove.bg の終了は不便な話ですが、「背景除去のためだけに画像を外部サービスへ送っていた」状態を見直すきっかけにもなります。手元で完結できる作業は、手元で完結させたほうが安全です。